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「えっ、僕?」
「そうだ。大丈夫なのか?」
育哉が心配そうに匠を見つめた。
175センチの身長で、陸上で鍛えているからか肩周りはがっしりしている。けれど筋肉ムキムキというわけではなく、全体的には細い。
髪の毛はスッキリと短髪にし、日に焼けた顔には涼やかな一重の切れ長の目とすっと通った鼻筋が印象的だ。
「ごめん、心配かけて。でも、もう大丈夫だから」
匠はお礼も兼ねてペコリと頭を下げると、育哉から離れた。
「ちょっと待って」
育哉が何か言いかけたが、匠は構わず足早に校舎から出た。
「心配してくれてるみたいだったけど、良かったのか?」
追い付いた篤司が聞いてくる。
「うん……。篤司さ、斉藤って聞いて何か思い出さない?」
「斉藤?あ、斉藤さんだ」
「じゃなくて、僕の事で……」
篤司は何かに気づいたみたいに、はっと息を飲んだ。
「まさか、斉藤って」
「そのまさかだ。小学生の時見かけた子が、斉藤 育哉なんだよ」
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