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俺はその場を離れ、廊下を歩く。
外は星が瞬いていた。
それを見ながら、この時、初めてレオ氏と松永さんの期待に応えたいと思った。
可能性とか考えたことがなかった。
いつもどこかで諦めていた。
──どうせ、出来やしないと。
そう思ったいた俺にチャンスをくれたレオ氏。
そして、悪ければ容赦なく指導し、チョップを繰り出してくる松永さん。
でも、分かるまでちゃんと面倒を見てくれる。
そんな二人に、一人前の姿を見せたいと柄にもなく、夜空の星に誓うように願った。
それから、俺は以前よりも色々なことを学ぼうと必死だった。
そして──。
『新たな就職先、決まったのね。おめでとう、巽くん』
松永さんは本当に嬉しそうに俺に言った。
『ありがとうございます。松永さんのご指導のお陰です。本当にありがとうございました』
松永さんに一礼すると、彼女は今までに見たどの笑みよりも綺麗に微笑んだ。
『本当に最初の頃はどうなることかと思ったわ。でも、立派になって、嬉しいわ。体に気をつけて頑張るのよ』
『はい、ありがとうございます。松永さんもどうか、お身体には気を付けてください』
『うふふ、巽くんにそうな風に言われる日がくるなんて…』
そういいながら、松永さんの目にはうっすら涙がにじんでいる。
『これ、レオ氏からよ。元気でね』
松永さんにレオ氏からの手紙を受け取った。
『はい、ありがとうございます。松永さんもお元気で』
そう言って、彼女と別れた。
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