8人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
ここは何の変哲もないオフィスビル。
その一角で、とある現象が起こりつつあるのを、今は数名の社員だけが感じ取っていた。
開発部第五課所属の坂本は、キーボードを打つ手を止めずに、ちらり時計へと視線をやった。
壁に掛けられた時計の針は、もうすぐ正午を指そうとしている。
「なあ……」
坂本は隣にいる武市に話しかけた。
「今日の昼なんだけどさ、俺、無性に食いたくなったもんがあるんだわ」
それを聞いた武市は、くるり、とイスごと体を坂本の方へ向けた。
「やっぱり、お前も気になったか」
「やっぱりって事は、お前もか」
「ああ。アイツが出社してから気になってしようがないんだよ。俺達以外にも、絶対何人かに感染してる筈だぜ」
最初のコメントを投稿しよう!