「深夜バイト」

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土曜日の深夜に倉庫のバイトをしてるんだけど、その日は人が集まらなくて正社員含めても5人しかいなかった。 巨大な倉庫で、ネット注文を受けた商品をカート押してタブレット片手に探して入れて纏める作業なんだけど、何せ広い倉庫内でそれぞれバラバラだったんで、物音も少ないし、心細い。 俺はオモチャの棚へとカートを押して、タブレット見ながら探してたんだけど、後ろから「タンタンタンタン」って、音が聞こえて心臓が跳ね上がったよ。 「なんだ?」 でも、なんて事ない、バスケットボールだった。籠に入れて山になってるボールから一つ落ちて転がったのだ。 ただでさえ人気がなくて怖いのに。 俺は山になってる籠に戻そうとしてその手を止めた。 そして、それが何なのかを理解した時に大きな悲鳴を上げながら、出口へ一目散へ走った。 「おい、外山!どーした。」 「でた、でた、でた、でた。こ、子供。籠の中に踞って、こっちを黙って見てたんだ。」 震える俺を落ち着かせようとその社員さんは見に行ってくれたんだけど、笑いながら戻ってきて「男の子なんていないよ。」と言った。 でも、俺は確かに見たのだ。壁際に置かれた籠の中にいる男の子を。 「・・・・あの、なんで、男の子だって。俺、子供としか言ってないですよね。」 「そうか?まあ、いい。お前は沢田の手伝ってやれ。」 腑に落ちないままその日はバイトを終わらせ、また別の日の日中にそのバイトへと入った。 それにしても、日中は沢山の人がいるからなのか、そのギャップで夜は寂しく怖く感じて、おかしな物を見たと錯覚したのだろうか。 「外山、お前見たの?幽霊。」 古株の沖田さんがヒソヒソ声で話しかけてきた。 「はい。でも俺の気のせい」 「昔からさ、ここ出るんだよ。男の子の幽霊、一人で遊んでたり、構って欲しくて現れるらしい。」 俺はそれを聞いて深夜のバイトは断るようにした。 あの時、あの社員さんは確認した時に見たんじゃないか、って思うんだ。 笑っていたけど、手が震えていた気がして・・・。 今もあの子供はあそこで遊び相手を待っているんだろうか?
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