彼女の生活のサイクル

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彼女の生活のサイクル

そういう訳で、彼女は「相対性理論」を読んでいるのだ。 不思議なことに、彼女はその本を貸出して家に持って帰らず、図書館のなかでずっと読んでいた。 なぜならば、彼女は自宅に本を持ち帰っても、片付けや洗濯、アイドルグループとしての活動に気をとられ、読書に集中できないからであった。 でも図書館にいる間は本を読むことに集中できる。だから数日おきに彼女は図書館にやってきて、「相対性理論」を取りだし、じっくりと読んだ。 その本は5センチもの厚さがあり、古くて大きく難解なものだったので、彼女以外の学生が急に借りて持ち去ってしまうこともなかった。 彼女はその日読み終えた箇所に、そっと白い小さな紙切れを"しおり"としてはさんで、もとの場所へもどした。 もちろん"しおり"をはさんだことは係員さんには内緒にして。 そして数日後、また彼女は「相対性理論」を取りだし、白い"しおり"のところから読み始めた。 アイドルグループのリーダーをこなし、理学部生として勉強し、メイドカフェでバイトにはげみ、そのなかで時間をやりくりして図書館で「相対性理論」を読む。 それが彼女の生活のサイクルだった。
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