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ある出会い。
ある大学の図書館で誰にも知られず、"ぐしっ"と涙をぬぐっている女性がいた。涙はとめどなくあふれているようである。
拭いても拭いても涙はとまりそうもない。
「図書館でなんで?」と思われる方もいるだろう。しかし、彼女には泣くだけの理由があるのだ。
ただ、彼女自身はその理由をなぜだか知らない。知らないのに涙だけは止まらない。
「光って、光ってなんだっけ・・・。」
知らず知らずのうちに彼女はつぶやいている。
これから話すのはそんな彼女の小さな物語である。
「人生は出会いだ」とか言う。
若い人たちからすれば、「出会いなんかそこらじゅうにあるじゃん。」と思うだろう。
たしかにそれはそうだ。
そして出会いもあれば、当たり前のことだが別れもある。
しかし、出会いの中には決して逃してはいけないものもある。あとで振り返って気づいても、そのときにはもう遅いのだ。
そんな大切な出会いは、人生においてとてつもなく少ない。
私がこれから語ろうとしている彼女も、「そのとき」を逃してしまった一人である。
でも、「そのとき」を逃したのは、彼女のせいではない。
それは歴史の必然だったのだ。
それでは、その彼女の、小さな、少しだけせつない物語を始めさせてもらいたいのだが、いいだろうか?。興味を持たれた方はページをめくってほしい。
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