繋がれていくもの

2/8
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
今この病気との戦いに直面して居る全ての人達がそうなのだろう。 半年ほど前の事だった。 遠くの小さな国から、それは始まった。 名前を聞いても、どの辺りにあるかすら解らないそんな国だ。 原因もよく解らない病気で、どんどん人が死んでいると報道された。 初めはほんの数分だけの小さなニュースだった。 取り上げられる時間が日に日に長くなり、最初に目にしてから二カ月も経つ頃には、どのチャンネルに回しても目にするほど大きなニュースになっていた。 その病気は感染する様で、止める事も出来ず近隣の国へ、そして世界中へと広がっていった。 日本で最初の感染者が出たのは1ヶ月前だ。 そこから日本中に広まるまで、わずか二週間。 今や恐ろしい早さで広がる病気に、日本中の人間が混乱し恐怖している。 ここまで病気が広まってしまった理由の一つは、感染経路が解らない事だった。 接触感染なのか、飛沫感染なのか、空気感染なのか。 どの様な予防策をとっても、感染を防ぐには至って居ない。 どこかの国では、治療にあたっていた人間が防護服越しにも感染したという。 ただ、誰もが感染する訳では無かった。 恐ろしく確実に広範囲に広がってはいるが、感染人数は多くはない。 かと言って、感染する人間がどういう状態の者かも絞れては居ない。     
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!