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今この病気との戦いに直面して居る全ての人達がそうなのだろう。
半年ほど前の事だった。
遠くの小さな国から、それは始まった。
名前を聞いても、どの辺りにあるかすら解らないそんな国だ。
原因もよく解らない病気で、どんどん人が死んでいると報道された。
初めはほんの数分だけの小さなニュースだった。
取り上げられる時間が日に日に長くなり、最初に目にしてから二カ月も経つ頃には、どのチャンネルに回しても目にするほど大きなニュースになっていた。
その病気は感染する様で、止める事も出来ず近隣の国へ、そして世界中へと広がっていった。
日本で最初の感染者が出たのは1ヶ月前だ。
そこから日本中に広まるまで、わずか二週間。
今や恐ろしい早さで広がる病気に、日本中の人間が混乱し恐怖している。
ここまで病気が広まってしまった理由の一つは、感染経路が解らない事だった。
接触感染なのか、飛沫感染なのか、空気感染なのか。
どの様な予防策をとっても、感染を防ぐには至って居ない。
どこかの国では、治療にあたっていた人間が防護服越しにも感染したという。
ただ、誰もが感染する訳では無かった。
恐ろしく確実に広範囲に広がってはいるが、感染人数は多くはない。
かと言って、感染する人間がどういう状態の者かも絞れては居ない。
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