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「携帯トイレに乾パンに……あと、替えの下着類ですね」
「携帯トイレに乾パンッ!? なに、俺ってどこかの戦場にでも連れてかれるのッ!?」
しかも、替えの下着類って…………普通こんな公衆の面前で渡さないだろ。
セツナに渡された下着を摘まみ上げてみる。クマさんパンツだ。うん、かわいいね。ハートの刺しゅうもチャーミングなこと。
「なあ……セツナ。俺、どこからツッコめばいいのか分かんなくなってきたよ?」
くまさんパンツを見たセツナが「ああ」と納得したような声を出した。
「アリューゼシド様の容姿って、こちらの世界では『かわいい美男子っぽい系』………つまり、オタク的な用語で『男の娘』と呼ばれる分類に入るので、どうせならと思い気を利かせてみました」
「うむ、お気遣いありがとう。しかしだがね、気を利かせてこれなら、キミはメイドの修行をやり直した方がいいよ? くまさんもっこりしちゃうよ、ねえ?」
「大丈夫ですよ。着替えの際に誰かに見られて、アリューゼシド様が変態と罵られても……。ワタクシは、いつまでもアリューゼシド様のおそばでお仕えしますから……」
「セツナ…………」
セツナのやつ……それほどにまで俺のことを………。
「ってちょっと待て。なに感動的に片付けようとしてんだ?」
「っチッ、バレたか」
「おふう、舌打ちが入りましたよ? 主人に対してあからさまな舌打ちが入りましたよ?」
要するにだ。
セツナというメイドはこういう奴なのである。
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