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未だ睨みつけてくるタンニンに、俺は手の平を向けて、高らかに呪文を唱えた。
「後悔して死ぬがいいっ! ダークネスファントムスクリューカイザーストーム!」
………………しーーーーーん。見事なまでな静寂。
………………あれ? あれあれあれあれあれあれっ!? どうなっているっ! 魔法がでないぞっ!?
ちょっとまて、どうなってる! そういえば、魔力を感じないし……おいおいおい、これはどういうことだっ!
「…………転校生、言いたいことはそれだけか?」
さーっと血の気が引く。タンニンとやらが、めちゃくちゃ怒っている。
「ちょっ、ちょっと待つんだ、タンニンよっ! タンマだ、タンマっ! 今、別の魔法を……」
「うるせえぇっ死にさらせぇぇっ! ジャーマンスープレックス!」
「ぶげらっ!」
ぼこられる。タンニンの鉄拳が飛んでくる。顔面直撃。我、ぶざまなり……。
ああ、なんなのだ。ここは何なのだ……。次期魔王(候補)である俺が、どうしてこんな惨めなことに……。
どうして、こんなことになったのだ?
俺はふと、遠い昔を思い出す。
次期魔王(候補)である俺が、こんな、意味の分からない場所に送られた、ちょーーーっと前のことを、まざまざと思い出す。
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