プロローグ。始まりはいつも唐突に、そして無情に。

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「あのさ。お前、調子に乗りすぎ」 「はい、マジですみません」  面倒臭そうに説教されて、俺は素直に謝るしかなかった。  目の前で呆れている、痩せこけた顔の男は神様。勇者とか魔王とか精霊とかよりもずっとずっと偉い、この世の創造主である。 「分かってる? お前ら魔界の連中がふざけてじゃれあったせいで、海が汚れて、魚介類が値上がりしてさぁ……うちの奥さんが激おこぷんぷん丸なわけ」 「はい、マジでごめんなさい」  神様から呼び出しをくらった俺はいま、天界にて正座をして反省中。  部下たちとふざけて遊んでいて、山やら海やらを荒らしたことを咎められているわけだ。弁明のしようもない。たしかにちょっくらふざけ過ぎた感はある。 「分かってる? 魔界に住んでいる連中は、人間たちの生み出す負の情念を喰らい、世界に蔓延している善悪の均衡を保つという重大な役割があるわけ。天界も魔界も、この世界を保つためには重要なの。魔界の授業でならっただろ、わかる?」 「はい。反省してます……」  次期魔王(候補)が、なんでへこへこしているのだと滑稽にみえるかもしれない。だが、この世界に住まう者は、誰も神様に逆らうことなどできまい。  すべてを超越する創造主、神。要するに、誰も逆らえない偉い人。  なんかふざけた容姿をしているが、けっこうマジで偉い存在なわけである。
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