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「とにかく。なんのお咎めもなしってわけにはいかないからさぁ」
と、神さまは手元の書類を見ながら面倒そうに言った。
「罰として、しばらくの間、別の世界で大人しくすること」
「べ、別の世界っ!? そんな、後生ですから、それだけは……っ!」
「いんや、もう決定だから」
「お、俺には、親父の跡をついで、魔界の安寧を守るという重大な使命が……」
「んなもん、兄弟の誰かに任せとけばいいだろ。知らん知らん」
「そ、そんなぁ……」
偉い立場である(いちおう)俺だが、なりふり構わず必死に懇願する。部下には到底みせられない惨めさである。
しかし。神は無情であった。知らん知らんの一点張り。俺の異世界送りは決定事項だと、決然と言い放つ。
「というわけで――――お前には、俺が創ったもうひとつの世界で、高校生として学園に通ってもらう」
「が、がが、ががが学園っ!」
「おう、そこで人間に混じって、教養を身につけなおしてもらう」
「な、なんで今さら学園なんだっ!? 俺は去年、魔界学校高等部を卒業したばっかりだぞっ!」
「うるせぇなぁ……。だから、もう一回、礼儀と教養とマナーを身につけてこいって言ってんの。仮にも魔界を統べるんなら、頭のネジを締めなおしてもらってこい」
「な、なんてこった……パンナコッタ……」
「そう。まさに、そういうふざけたところを直してこい」
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