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あれやこれやと糸口を見つけようとしたが、神は決断を変えないらしい。
俺の意見なんて聞く耳持たずで、必要事項を事務的に述べていく。
「はいこれ、お前が通う学園のパンフレットね」
「ああ、ありがとう。わあ、とっても素敵な学園ね…………じゃなくて!」
受け取ったパンフレットを思い切り床に叩きつける。
「い、いつまで……どのくらいの期間、俺は左遷されるんだっ!?」
「左遷じゃねーし。……まあ、そりゃ、常識を身につけるまでだろ」
「常識っ!? はは、常識ネっ? ルックミー! ワレ、トッテモ常識人ヨ? ダークネスファントムスクリューカイザーストーム使えるよ?」
「だから、その柔らかい頭をどうにかしろってんの」
神はため息して、面倒そうに続ける。
「向こうの世界とは言語も違うし習慣も違うが……。言語の方は、俺の力でなんとかしとく。それでもいろいろと不都合があるかもしれんが…………まあ、使いの者を送るから、詳しくはそいつに聞いてくれ。説明するのも面倒だ」
「ちょっと待ってくれ! 頼む! 俺には養わなければならない妻が……っ!」
「お前、養われてる身だろうがよ……。問答無用!」
神がばっさりと言い放つなり、俺を頭痛が襲った。
痛い痛い痛い痛いっっ! 名状しがたい苦痛に、否応なしに視界が霞んでいき、意識が薄れていく。
くそっ! どうなってんだ……っ!
喚きながら、なんとか視線を持ち上げた。
神は呑気に鼻をほじりながら、空いた手をひらひらと振っていた。
「じゃあねー、頑張ってこいよ」
その言葉を最後に、俺の意識は、ぷつりと途切れた―――――――――――
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