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「わかるよ。顔見とったら。」
「なにがわかんだよ。」
「?」
「お前に何がわかんだよ!学生のお前には理解できないだろ!社会人の苦労が!」
うわー。
カッコ悪。何キレてんだよ俺…。
今日初めて会った子に何てことしてんだよ。。
「わからんよ。そんなん。」
「へ…?」
「わからんって言っとんねん。お兄さんが何に悩んで、何を思ってここに来とんのか、私がわかるわけないやん。」
ちょっと予想外だった。
キレた俺を怖がるのかと思ってたから。
「よっこらしょっと…」
「お、おい。」
彼女が立ち上がった。
「こうやって…ぎゅーって手握りしめて、目つむって、お願いするねんよ。」
彼女は、手を握りしめて、少しうつむきながら目を閉じている。
その姿は、とても綺麗だ。
「は?」
「そしたら、次の日には何もかも、うまくいくようになってて、明日からも頑張れるんよ…?」
「そんなわけ…」
「そう。そんなわけないんよ。でも、そうやって乗り越えんかったら、明日、…ろ?」
「え?なんて…」
「なんもない。お兄さんもやってみ?今度はいっぱい星見えるようになるかもしれんよ?」
「…おう。」
俺も同じように手を握りしめてお願いする。
何を…?
何もかもうまくいくように?
いや…
明日も、頑張れるように。だ。
俺は目を開く。
「わ…すげ…」
今まで見えなかったのに、、
空にはたくさんの星たちが…。
「すごいやろ?すごいんよ。」
彼女は俺に向き直った。
「本当に、自分のことがわかったら、何もかも綺麗に見えるんよ。
明日頑張れるのは、自分が頑張ろうって思えたからなんよ。
私は…明日頑張ろうって思えへんくなって…
んーん。頑張らなね。お兄さんも頑張ろね。じゃ、帰るわ。」
「あ、ちょ、またここにいるのか?!今度は、ちゃんとお礼したい。」
「んー、今度会えんのは…お兄さんが、また頑張れんくなったとき、かな?じゃーね。」
そう言って、暗い中を帰っていった。
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