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「……寒いなら車にいれば?」
「おー空がキレイだこと。すげーな、おい」
私の言葉を華麗に無視して、目をキラキラさせながら頭上の星空を見上げる横顔が視界の端に映る。
「降ってきそう。星が」
吐き出された白い息は一瞬だけ夜空を霞ませる。
何も言葉を返さないまま、私も空を見上げた。
こぼれ落ちてきそうな星たちが、じっとこちらを見つめている。
ザク、と音がして、隣の気配が揺らぐ。
いつもよりずっと近くに感じた。
空も、彼も。
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