梅屋のシュークリーム

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「お前、いっつもそれ食べてるよな」 呆れて隣の席の梅原が言う。 「だって、美味しいんだもん」 「そんなに毎日食ってて飽きないのか?」 ……自分でも、多分もうこれは中毒なんだと思う。 これを食べなくなってしまったら、きっと頭がどうかしてしまうと思う。 「飽きない」 彼はバカにしたように顔をしかめながら顔を真正面に戻した。 隣の席の彼は柔道部で、坊主だ。 背が大きくて厳つい。 何をしたわけでもないのに席が隣になってから、ちびっこい私をいつも小バカにしたように呆れながら構ってくる。 別に良いじゃない、これが好きなんだもん。 梅原になんて何も迷惑かけてないじゃん。 梅屋のシュークリームは売店でも結構人気で遅く行くと売れ切れてしまう。 それなのに、最悪。 先生のバカ!! チャイム鳴ってるんだからすぐにやめてよ! 心の中で体育の先生に怒りながら慌てて制服に着替えて売店までダッシュした。 その甲斐も虚しく売り切れのプレートが今出されたばかりだった。 私のシュークリーーームーーーー!! とぼとぼと教室に戻る。 いつも一緒にお弁当食べてる紗奈が慰めてくれる。でも、私のこの、がっかり感は絶対に分かってくれないんだろうな……。 「なんだ、今日はいつもの食ってないのか?」 がっかりしながら自分の席に戻ると、隣の梅原が茶化す。 じろりと睨んでまた視線を戻した。 こんな奴には尚更私の気持ちなんか分からない。
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