日常の2

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「二人はなんて名前なの?」 先輩が聞いてくる。 「わたしは春ちゃんって呼ばれてます」 ここでもわたしが先に名乗る。 「わたしは…うさぎです」 「「うさぎ?!」」 「え?!それって名前が?!うさぎ?!?!」 オーバー過ぎないかというくらい、二人は驚いている。 先ほど、わたしがうさぎと呼んでいた気もするが、聞いていなかったのだろうか。 「いえ、苗字がうもとっていうんですけど、兎の本って書くんです。だからあだ名がうさぎで…」 うさぎと知り合ってからというもの、彼女が初めて会う人には必ずこの説明をしているのをみてきた。 もう何回目か分からない。 うさぎ本人はうんざりしているだろう。 それでも下の名前を言わないのは、付き合った相手以外には呼ばれたくないからだと、前に話していた。 「へぇ、珍しい苗字ですね。うさぎ…うさぎ……うさちゃんでいいのかな?」 「あ、はい。大体みんなそう呼んでますね」 「そしたら俺のことはとんちゃんって呼んでください。で、先輩は…先輩でいいと思います!」 「んだよ、それ!まぁいいけどさ笑 」 「「え、いいんだ?!笑 」 思わず、とんちゃんと二人でつっこんでしまう。 「 俺たちは会社の同僚なんだけどふたりは?何友達なの?」 白ワインを飲んでいるわたしに、先輩が目線を送りながら聞いてくる。 残念、この質問の回答はうさぎが担当なのだ。
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