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「二人はなんて名前なの?」
先輩が聞いてくる。
「わたしは春ちゃんって呼ばれてます」
ここでもわたしが先に名乗る。
「わたしは…うさぎです」
「「うさぎ?!」」
「え?!それって名前が?!うさぎ?!?!」
オーバー過ぎないかというくらい、二人は驚いている。
先ほど、わたしがうさぎと呼んでいた気もするが、聞いていなかったのだろうか。
「いえ、苗字がうもとっていうんですけど、兎の本って書くんです。だからあだ名がうさぎで…」
うさぎと知り合ってからというもの、彼女が初めて会う人には必ずこの説明をしているのをみてきた。
もう何回目か分からない。
うさぎ本人はうんざりしているだろう。
それでも下の名前を言わないのは、付き合った相手以外には呼ばれたくないからだと、前に話していた。
「へぇ、珍しい苗字ですね。うさぎ…うさぎ……うさちゃんでいいのかな?」
「あ、はい。大体みんなそう呼んでますね」
「そしたら俺のことはとんちゃんって呼んでください。で、先輩は…先輩でいいと思います!」
「んだよ、それ!まぁいいけどさ笑 」
「「え、いいんだ?!笑 」
思わず、とんちゃんと二人でつっこんでしまう。
「 俺たちは会社の同僚なんだけどふたりは?何友達なの?」
白ワインを飲んでいるわたしに、先輩が目線を送りながら聞いてくる。
残念、この質問の回答はうさぎが担当なのだ。
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