願い

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夜空に浮かぶ星座達をモチーフにした魔法少女達の物語があって、それに私は夢中だった。 毎晩毎晩、夜空に向かって、私をその魔法少女達の一員にしてくださいと願っていた。 しかし当然そんな願いは叶うはずもなく。 私の好きな星座の物語の魔法少女達はみんな中学生のうちに魔法少女になる目覚めがきて、魔法少女になっていたというのに。 私の年齢は中学生を過ぎ、高校生になろうとしていた。 半ばあきらめていたある日、横断歩道を渡っていたらトラックが轟音で近づいてきたのがわかった。 「危ない!」 どこからかそんな声がして「え? 私死ぬの?」と思って目をつぶった。 だけど衝撃みたいなものは何も感じなくて、あれ?と思って恐る恐る目を開けてみたら。 男の子が私に覆いかぶさるようにしていた。 どうやら男の子がとっさに私ごとトラックに轢かれないようにダイブしてくれたみたいだった。 「あ、あの、ありがとうございます!」 私が絞り出すようにお礼を言うと、男の子はにこっと笑って 「星座の乙女、やっと出会えた」 あの魔法少女の物語みたいなことを言ってくれた。 実は、みたいなこと、ではなく、彼は本当に魔法少女へのお迎えだった。 願いが、やっと届いた。 魔法少女の目覚めへのお迎えの王子がやっときてくれたんだ。
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