海鳥は夜空に煌めく

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※※※  水を全て運び、更に浜辺で食糧を多少調達した頃には、太陽はゆっくりと傾き始めていた。  暗くなる前に洞窟へと戻り、この日初めてのまともな食事をとるため、火を起こす。フィネガンが手慣れた動作で焚き火を大きくするのを、名無しは興味深そうに見ていた。 「フィンは、ここに来る前は何をしていたんだい?」 「別に。船に乗ってたかな」  浜でとれた貝を焚き火の側に並べながら、フィネガンは「それより」と頭をかいた。 「先の話だ。さっきも話したが、水は長くて二十四日分……いや。何本か瓶が割れたからそれ以下か。ある程度果物でしのぐことはできるが、それだけになるとかなりしんどい。つまり――俺達に残されてる猶予は約二十日間ってことだ。前倒しの可能性も含めてな」  焚き火がはぜ、ぱちりと乾いた音が洞窟内に響く。 「じゃあ、筏を作って島から出るとか」 「海図もコンパスもないのに海へ出るのは、それこそ自殺行為ってもんだ。何より、この島の外の様子が分かんねぇ」  並べられた貝の一つが、口をぱかりと開く。 フィネガンは貝を焚き火から離すと、じわりと汁を浮かべたそれを、冷ましながら口の中へと入れた。幾分砂が混ざっているが、砂を抜くために水を使える程、贅沢できる身分ではないため我慢だ。それさえ耐えれば、塩辛さと貝の旨味が、じわりと口の中に広がる。 「取り敢えずは、できるだけ水を節約するよう、動く時間帯に気を配る。あとは水源探しだな。真水さえ手に入れば一安心だ」  それが難問なのだが、とは敢えて口にしなかった。  だがふと、何を思ったのか名無しが口を開く。 「あの岩場に登ったら、島の外を見渡すことができないかな?」
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