第1章 孤独のトンネル 前編

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「起きましたか?いきなり寝ないでくださいよ、帰れないじゃないですか」 ダイゴがやれやれといった表情で俺の方を見ている。黒い男の姿はない。一体何がどうなっているのかまったく見当がつかない。 「お前さっき帰ったじゃないか…そうだ!男はどうした!」 「はい?」 ぽかんとしたダイゴの後ろに見える掛け時計に目を凝らした。 「2時30分?そんな…」 「夢見てたんですね?どうせ借金取りに追われる夢とかでしょ?さ、帰りましょうか」 戸締まりをするダイゴをよそに、俺はぼんやりとしていた。あれは夢だったのか、それとも…? 悩み苦しむ者を救え。 どういう事だろう?俺に何をしろと言うのだろう? 思考に霧がかかったような頭。 促されるまま、俺は店を後にした。 脳裏には、まだ、あの黒い男のドス黒い瞳が焼き付いて離れない。
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