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「起きましたか?いきなり寝ないでくださいよ、帰れないじゃないですか」
ダイゴがやれやれといった表情で俺の方を見ている。黒い男の姿はない。一体何がどうなっているのかまったく見当がつかない。
「お前さっき帰ったじゃないか…そうだ!男はどうした!」
「はい?」
ぽかんとしたダイゴの後ろに見える掛け時計に目を凝らした。
「2時30分?そんな…」
「夢見てたんですね?どうせ借金取りに追われる夢とかでしょ?さ、帰りましょうか」
戸締まりをするダイゴをよそに、俺はぼんやりとしていた。あれは夢だったのか、それとも…?
悩み苦しむ者を救え。
どういう事だろう?俺に何をしろと言うのだろう?
思考に霧がかかったような頭。
促されるまま、俺は店を後にした。
脳裏には、まだ、あの黒い男のドス黒い瞳が焼き付いて離れない。
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