20章 闇への餞

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全てを覆い隠すように鬱蒼と茂る木々。 その暗闇の奥で蠢く二つの影が見える── グレイは重なりあったその影が何かを確かめた。 感情一つ揺れぬ眼差し。 グレイは冷たい無表情のまま、己の身体を霧に変えそこから姿を消しさった── 闇がざわめいている 風に躍らされて擦れ合う木々の囁きが聞こえてくる 闇の主に刃向かう愚かなる虫けらよ 主に背き 主の怒りに触れ その身を裁かれるがいい── 悲鳴にも似た強風が吹き耳障りの悪い音色を奏でる。 魔界の森にぴったりの音色だ── 強い風など吹くことのないこの森に不吉な風を呼んだのは誰だ── 小さな魔物達はビクビクと身を震わせて土の下に潜り込む。 通り過ぎる強い風がピタリと止むとそれは白い霧となって姿を現していた。 小さな魔物の囁きが止まり不気味な静けさが舞い戻る。 その静かな気配の中でささやかに色づいた声が聞こえていた。 「……っ…」 ルナはリドリーの指先に応えるように声を漏らした。 華奢な脚を開き、その間を探るリドリーの指先はたっぷりと濡れた露を纏っている。 優しい丁寧な愛撫。その行為にルナは十分に高められていた。
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