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人魚の国にはお姫様がおりました。
誰より髪が長く、誰より肌は白く、誰より唇の赤いお姫様がいました。お姫様は海の底のお城でとても幸せに暮らしていましたが、ある時病気になりました。昔のように海を泳ぎまわることができなくなりました。歌うことができなくなりました。お城の中でずっとじっとしていることしかできなくなりました。
人魚の国の王様とお妃さまは、元気だった娘の変り果てようにたいそう心を痛めました。そして、いつしか娘のように動かなくなり、娘と違って息もしなくなってしまいました。生き生きと人魚たちが歌い、泳いでいた人魚の国は悲しみに包まれ、誰もが悲しそうな顔で海の底を這うようになりました。
人魚の娘たちは、お姫様の遊び相手でした。誰より可愛らしく優しかったお姫様のことが大好きでした。みんなが仲良く楽しく暮らす人魚の国が大好きでした。四匹はお姫様の病気を治し、お姫様に元気になってほしくて、世界中の海を巡って良い方法を探していたのです。
「お姫様はとってもかわいかったんだねママ?だからみんなに好かれていたんだね。人魚姫に会いたいよ、ママ。どうすれば会えるの?」
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