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「で、電話がっ…お願い、電話を取らせてっ」
愛美の懇願にアデルは攻めの手を止めた。
「時間はある……」
アデルは電話に出ることを許しながらもその美しい顔を近付ける。何気にそれを避けながら愛美は神の救いだとホッとしたように電話に直ぐに出た──
「マナミ様、ご機嫌はいかがですかな!」
明るい声が掛けられる。
愛美は思わず笑みを浮かべた。
「ターミル! ありがとうっ…」
「……?…」
涙ぐんだ声でいきなり礼を言われてターミルは疑問顔を浮かべた。
「今はどちらに? ご自宅ですかな?ちょっとばかりお話があったのですが…」
「あっと…実は……」
愛美は近すぎるアデルを避けながら口ごもった。
観光で来日したアデルの案内役を頼まれていることを明かし、愛美は今の状況に冷や汗を拭う。
アデルは横に寝そべり愛美の太ももを撫でながら電話のやり取りを眺めていた。
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