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ターミルは愛美の説明を受けて暫し絶句した。
「もしや──…アデル様が今、御側に付いて居られますかな…」
愛美は小さく返事を返す。
「なるほど…して、ハッサンもお側に居られますかな…」
「………」
愛美は無言で返した。
「──…マナミ様」
ターミルの声が低くなる。愛美はその雰囲気に唾を飲んで返事をした。
「アデル様は7人の王子の中でも一番の好色でございます──…」
「………」
愛美はえっ、と目を開く。
「今すぐに人の居られる場所にお逃げ頂きたい──」
「──……」
そう言ってプツリと電話は途絶えた。
好色…
好色って──
固まった愛美の頭の中でパラパラと辞書が開かれる──
※好色とは──[色・異性をとても好む]という意味である。
「……っ…」
愛美はゆっくりとアデルに顔を向け、咄嗟に腰を上げた──
「や、だっ……」
素早くアデルに腕を捕まれて引き戻される。
好色王子のお戯れが発揮され愛美は容易くその腕の中に取り囲まれた。
「慌てるな…ターミルのはほんの冗談だ」
「……っ…」
うそだっ絶対に嘘だ……
膝に抱き抱えられてしっかりと腰を捕まれながら愛美は完全にアデルを疑っていた。
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