点と線

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結城はハンドルを茂原市に向け 『それ、全っ然慰めになってねぇし。』 中瀬は笑いながら結城を見て 『これでも慰めたんだけど。』 結城は中瀬を心配して 『中瀬さん、今日は遅くなるから帰りなよ。』 中瀬は結城の言葉に不満そうな表情で 『嫌だ。私もついてく。』 結城はそれでも中瀬を心配して 『何時に帰れるかわからないよ。』 中瀬は結城にすがる様に 『1人より2人、寂しくないでしょ。だから一緒に行く。遅くなったら明日はまた熱出して休む』 結城は前方の信号が赤になったので車を止めながら 『また仮病か。バレたら俺が森山達に恨まれるんだからな。』 中瀬はにっこり笑って 『大丈夫、バレない様にやるから。』 結城はドリンクホルダーに置いたペットボトルのコーヒーを手に取り 『わかった、一緒に行こう。それじゃ館山道から茂原市に行こうか。』 中瀬は結城に感謝しながら 『うん、ありがとう。館山道で君津まで行って、そこから圏央道で茂原北まで行くわけね。』 結城は前方の信号が青になり車を走らせ 『館山市から国道で鴨川市に出て、それから勝浦市に出て、そこから大多喜町に出てから茂原市より、館山道から行った方が早いだろ。普段の日だから渋滞は無いと思う。』 中瀬は結城を見ながら 『今日は千葉県の真ん中から下半分を一周する事になるんだね。』 結城は溜息を吐き 『ふぅ〜、少なからずそうなるね。俺の運は無い事がわかった。』 中瀬は結城の言葉に笑いを堪えて 『結城君、ドンマイ。』 結城は笑いながら 『だから全然慰めになってねぇって。』 中瀬も笑いながら 『結城君面白い。』 結城は中瀬の言葉に笑って 『全く、俺をいじめるんだから。』 中瀬は結城を見ながら笑って 『結城君に対しての愛情表現よ。』 結城は中瀬の言葉に 『どんな愛情表現だか。』 中瀬は結城を見ながら話しを変えて 『結城君の中で、防犯カメラの女性は誰か予想は出来ないの?』 結城は中瀬の質問に 『まだ、全然わからない。もしかしたら、カツラをつけて変装だってしてる可能性もあるしさ。』 中瀬は正面を見ながら 『そっか。』 結城はペットボトルのコーヒーを飲みながら 『だから、何の為に田山さんを殺害したのか。田山さんを殺害して得する人物。それがカメラの女だよ。部屋で殺害して、キャリーバックに入れて運ぶなんて計画的犯行だよ。』 中瀬は結城を見て 『田山さんも交友関係が広かったから、味方も居たけど、敵も多かったかもね。』 結城はペットボトルのコーヒーをドリンクホルダーに置いて 『まさか山谷の行方不明事件からこんな事件に発展するなんて・・・』 中瀬はドリンクホルダーに置いたお茶を手に取り 『山谷君、どこに居るんだろうね。』 結城は中瀬の質問に 『自分のアパートの床下で寝てるんじゃないのか。』 中瀬は結城のリアルな答えに 『リアル過ぎて怖いんだけど。』 結城は中瀬の言葉に 『ここまできたら。そういう場所も探す時期かもよ。』
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