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女性店員は結城の質問に
『私は勝浦市です。確かその女性も勝浦市と言ってましたよ。』
結城は女性店員の言葉にシャープペンで手帳に書きながら
『勝浦市ですか。』
中瀬が手下げ袋を持って来て結城に手渡し
『結城君、この袋には何が入ってるの?』
中瀬から手提げ袋を手渡された結城は袋から画用紙と鉛筆数本を取り出した。
『ありがとう、紙と鉛筆だよ。』
中瀬は不思議そうに結城の行動を眺めながら
『で、今から何をやるの?』
結城は画用紙をテーブルの上に置きながら中瀬の質問に
『ん?今から似顔絵を書くのさ。』
中瀬は結城の言葉に驚きの表情で
『に、似顔絵?誰が書くの?』
結城は笑って自分に指を指した。
中瀬は笑いながら
『冗談じゃなく本当に?嘘でしょ?』
結城は準備をしながら
『こんなの冗談で出来るかよ。警察官時代は嫌ってほどいつも書いてたよ。しかも警察学校でも嫌ってほど描かされてたし。だからこの仕事は得意中の得意。』
中瀬は凄く驚きを隠せず
『ここ一年で凄く驚いた出来事だよ。マジで一番意外な出来事だし・・・』
結城は中瀬の言葉に笑いながら
『うるさい・・・すみません、似顔絵を書きたいので協力お願い致します。』
女性店員は結城と中瀬のやりとりに笑いを堪えながら
『わかりました。協力します。』
時間は過ぎ、似顔絵を描き終わった頃には外も暗くなってた。
店員は何かを持って来て結城に見せて
『ワゴン車にアドレス帳が落ちてまして、田上様に連絡したのですが、ずっと不在だったので、今日の今日まで保管してました。』
結城は店員に感謝しながら
『ありがとうございます。俺が受け取ります。』
二人はレンタカー屋を出て
『大門に電話して、シルバーのワゴン車が見つかって、証拠品として借りられたって言わないと。警察で証拠品として持っていってもらわないと。』
結城は大門に電話をした後に、鴨川に向けて走り出した。
中瀬は結城の書いた似顔絵を見て
『この似顔絵、どこかで見た顔なんだけど・・・』
結城は車を運転しながら中瀬の言葉に
『中瀬さんもそう思う?実は描いてる時に同じ事思ってた。』
中瀬は結城を見ながら
『私と結城君が見た事あるって事は、同じ学校の人物だよね。』
結城は中瀬の言葉に
『そうなるよね。卒業アルバムで確認か?』
中瀬はまた結城が描いた似顔絵を見て
『卒業アルバムでわかるかな?少しは老けてると思うからどうかな?』
結城はドリンクホルダーに置いたペットボトルのコーラを手に取り飲みながら
『野間口とかにも見せてみようか。』
中瀬は結城を見ながら
『でもなんで田上君が・・・』
結城は正面の車が止まったので結城もブレーキを踏み車を止めて
『多分、似顔絵の女に頼まれたんだろうね。似顔絵の女が受付で伝票に書いたらバレるし、田上に頼んだ。』
中瀬はドリンクホルダーに置いたペットボトルのお茶を手に取り飲みながら
『似顔絵の人物は田上君と仲の良い人?』
結城は中瀬の質問に
『少なからず、三ヶ月前の諸見里の事件からじゃないかな。』
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