記憶

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鈴江は結城の言葉に納得して 『そうだよな。確かに結城の言ってる通りかもな。』 野間口は携帯電話の時計を確認し 『そろそろ出ようか。鈴江、また会って一緒にメシでも食おうぜ。これ、俺の名刺だ。』 結城も鞄から自分の名刺を出し 『これ、俺の名刺。』 鈴江は二人から渡された名刺を見て、自分の名刺を肩にかけてた鞄から名刺をだし 『その時は酒付きでな。これ俺の名刺。』 二人は鈴江から名刺をもらった。 三人は吉田屋を出た。結城と野間口は鈴江とわかれ、車のハンドルを地元に向けた。 ・・・ 野間口の運転で、鴨川に戻る車中 『お前はどう思う?』 野間口は車窓の外を眺めてる結城に質問をすると 『諸見里の記憶喪失の事か?それとも田山を殺害した犯人はもしかしたら諸見里かもって件か?』 結城に逆質問された野間口は 『両方だよ。付け加えるなら失踪の件もだよ。山谷の行方不明と諸見里の行方不明はもしかしたらつながってる?』 結城は野間口の質問に 『調べてみなきゃわからないけど、ただ偶然過ぎないか?』 野間口は結城の言葉に 『記憶喪失で覚えていた名前が、田山と角と大池と森山って事だろ。』 結城は野間口を見ながら 『退院後に行方不明って事もさ。もしかしたら諸見里は山谷の事も覚えてたって可能性はあるよな。現に山谷の携帯電話の明細書に名前があったし。』 野間口は結城の推測に 『だが、二人はどうやって再会したんだ?睦沢町と天津小湊町だぞ。』 結城は野間口の疑問に対し 『誰かが二人を近づけたって可能性もあるよな。でも二人が行方不明になってるって話しは偶然かもしれないし。』 野間口はドリンクホルダーに置いた缶コーヒーを手に取り一口飲み 『だけど、行方不明になってる諸見里が田山を殺害したって可能性も。』 結城も野間口につられたのか、ドリンクホルダーに置いた缶コーヒーを手に取り飲みながら 『田山を殺害する動機は?あの当時の恨みか?高校卒業して何年になるんだ。やるならもっと早く殺害するだろ。』 野間口は結城の言葉に納得した表情で 『そうだよな。恨んでいればもっと早く殺害するだろうな。』 結城は野間口を見ながら 『って思いたいけど、もしかしたらだけど、諸見里の記憶喪失は嘘かもね。』 野間口は結城の諸見里の推測に 『医者の診断書もあるんだぞ。』 結城は野間口の言葉に 『だからその時は記憶喪失だったけど、すぐに治ってたら?』 野間口は結城の推測に 『治ってても治ってないふりをしてた?』 結城は野間口を見ながら 『鈴江が嘘をついてなければ、森山達メンバーの記憶だけが残ってるなんて・・・卒業してからも何か森山達メンバーと諸見里の間に何かあったとしたら・・・』 野間口は缶コーヒーを飲み干して 『見つけ出して話しを聞きたいよな。』
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