駅前商店街の便利屋探偵～潮騒の詩～

記憶

結城は缶コーヒーをドリンクホルダーに戻して

『鴨川まで時間かかるだろうし、ここは一回まとめよう。』

結城はメモ帳にボールペンを用意し

山谷の行方不明事件、ツケ、大金が入るの意味は？

田山との関係は？諸見里との関係は？ＳＤカードの中身は？田山殺害事件の犯人は？

前日の夜、森山達との茂原に講演会。その後の足取りは？

諸見里ひき逃げ事件は故意？事故？

今も本当に記憶喪失なのか？

記憶にあるのは森山、大池、田山、角、山谷？

野間口は結城がメモ帳に書いた紙をパッと見て

『何かつながらないよな。』

結城は自分でメモった紙を見ながら

『一つわかれば、一気につながる可能性もあるさ。しかし、こんがらがってきた。逆説で考えてみるか。山谷の明細書に田山と諸見里の名前は偶然、諸見里の記憶喪失で森山達を覚えてた事も偶然。』

野間口は結城の推測に

『殺害時刻頃に、田山が森山達と茂原で食事会があって、鴨川松島から流されて横渚港に水死体の逆説は？』

結城は笑って

『逆説に考えてもこんがらがる。一つ一つ解決して行こうか、ドブ板捜査だ。明日は明日の風が吹く。こんな時は風呂入って飲むが一番だな。』

野間口も笑って

『明日の事は明日考えよう。よっしゃ、風呂入ったら・・・あっ？』

野間口は何かを思い出した。結城は野間口の言葉に

『ん？どうした？』

野間口は結城に

『小川さんに山谷の件を伝えなきゃ。』

結城は野間口を見ながら

『明日行こうか。明日、森山事務所に行ってから昼メシがてら小川さんの店に行ってみよう。』

野間口は笑顔で

『そうと決まれば、風呂入ったらウチで今日の反省会するぞ。』

結城は野間口の言葉に笑いながら

『毎日反省会してる気がする。』

野間口も笑いながら

『それの方が俺ららしいだろ。』

結城は野間口に

『そうだ、山谷のアパートでもう一度部屋を見たいな。もっと探せば何かヒントがあるかも。』

野間口は結城の頼みに

『もう真っ暗だけど今から行ってみるか？』

結城はにっこり笑って

『暗い方が都合が良い。懐中電灯はある？』

野間口は結城の言葉に

『鴨川松島に行った日からずっと車に乗ってるよ。また針金か？』

結城は笑いながら

『大家に言うと説明するのが面倒だし 時間がかかるから、針金で開けた方が手っ取り早い。』

野間口は結城の話しに

『それじゃ天津に行こうか。』

野間口は目的地を鴨川市の太海から天津にハンドルを変更した。