突破口

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結城は昨夜の事を思い出しながら 『大変もなにも、あれはドラマだけの世界だと思ってた。』 野間口は笑って 『現実に体験出来て良かったじゃないか。刑事ドラマであるあるだろ。でもあの状況下で、車のナンバーを覚える余裕があるなんて凄いな。』 結城は野間口の言葉に笑って 『逃げながら必死に覚えた。って、刑事ドラマみたいな出来事は体がいくつあっても足りないよ。』 大門は結城の話しに 『でも一つ間違えたら、記憶喪失の諸見里みたいになってたかもしれませんよ。』 結城は恐怖の表情で 『確かに・・・』 大門は内ポケットから手帳を取り出してページを開き 『そのナンバーなんですが・・・そのナンバー照会をしたところ・・・落ち着いて聞いて下さいね。』 結城は大門の意味あり気な言葉に恐る恐る 『落ち着けって・・・どうした?そんな凄い事なのか?』 大門は真剣な表情で 『凄いもなにも・・・ナンバーを照会したら山谷の車と判明しました。』 大門の言葉に二人は驚きを隠せなかった。野間口は驚きの表情で 『山谷が結城を・・・それ絶対ありえない。』 結城は山谷と言う名前にやはり驚きの表情で 『確かに有り得ない事だけど、色々借金してるからこの事件の実行犯に金をチラつかせれば・・・』 野間口は結城を見ながら 『って事は、山谷は生きてるって事だよね。』 結城は野間口の言葉に 『ここまで事が大きくなれば、生存してるかどうかって話しだよな。』 大門は結城と野間口に 『今、山谷の車を全力で探してます。見つかり次第警察署に持って来る予定です。』 結城は手帳に大門の情報を書きながら 『何かわかった事ある?』 大門は持って来た手下げ袋から資料をテーブルの上に出した。 『今わかってる資料を持って来ました。』 大門は結城と野間口にその資料を読みながら 『島に落ちてたタバコの吸い殻なんですが、DNA鑑定をしてみたところ前科持ちは居ませんでした。足跡から靴を割り出したのですが、全て鴨川市の国道になる大型スーパーセンドで一時期売ってた靴と判明。』 結城は大門が持ってきた資料を読みながら 『あそこは安いからね。俺もよくそこで買うよ。』 野間口は大門が持ってきた資料を見ながら結城に 『まさか、諸見里をやったのも山谷か?』 結城は野間口の質問に 『可能性はゼロじゃないけど、金の話しが出たのは一カ月前ぐらいで、諸見里の事件は三カ月前だぜ。』 大門は結城と野間口に 『今、鴨川のスーパーセンドで誰が購入したか調べてます。』 結城は資料を読みながら大門に 『多分、誰が買ったかわからないだろうな。』 大門は結城の質問に首を横に振り 『難しいところです。』 結城は大門を見ながら 『田山 洋子がホテルから居なくなった日の夕方からの足取りは確認してある?』 大門は結城の質問に手帳を開き 『確認してあります。ホテルの防犯カメラで追ってみたのですが・・・』 結城は手帳を取り出し 『足取り教えて。やっぱりホテルから茂原駅に行って、外房線で安房鴨川駅に向かったの?』
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