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結城の説明に中瀬は感心して
『この学校ってそんなに凄いんだ?ウチらの時はショボかった気がする。』
結城は笑って
『俺も同じ意見だよ。さて、大門に報告だけしてレンタカー屋に探しに行こうか。中瀬さん、帰って寝てなよ。』
中瀬は不満そうな表情で
『レンタカー屋巡り?嫌だ、私も行く。』
結城は中瀬の表情を見ながら
『だだこねないで帰れ。』
中瀬は横目で結城を見ながらにっこり笑って
『嫌だ。一緒に行く。連れて行ってくれないと、結城君にとってすご~い良い情報を持ってきたのに。持ってきたって言うか思い出した事あるのにな。』
結城は中瀬の意味あり気な言葉に
『えっ?何?そんなに良い情報なの?』
中瀬は外方を向き
『連れて行ってくれるなら教えるけど。今日はレンタカー屋さん巡りを止めて、そっち優先になるぐらいのね。別に聞かないって言うなら私帰るから。』
中瀬は座っていた椅子を元に戻し自分の鞄を手に持ってパソコン室の出入口に行く寸前に結城は慌てて中瀬の前に行き
『わかった、連れて行く。だからその情報を教えてよ。その情報って本当に凄い情報なの?』
中瀬はにっこり笑って結城にピースをして
『だから、今日そっちが優先になるぐらいの凄い情報だよ。信じる信じないは結城君次第よ。』
幼馴染みの中瀬の性格を誰よりも知っている結城は笑顔で
『わかった。信じるよ。』
中瀬は結城の言葉に笑顔で
『そうと決まれば、結城君の気持ちが変わらないうちに行こう。』
………………
結城が運転するの車の中
『で、約束通り教えてよ。』
助手席に座った中瀬は車を運転している結城を見ながら
『田山さんが持ってたキャリーバックあるでしょ?』
結城は車を運転しながら中瀬の説明に
『画像で田山さんになりすました人物が持ってた大きなキャリーバックだよね。』
中瀬は結城を見ながら
『あのキャリーバック、暫くマンションに置いてあって、田山さんのご両親がマンションを引き払う時に一緒に持ってったはず。』
結城は中瀬の情報にハザードを出して車を止め驚きの表情で中瀬を見ながら
『そ、それ本当に?』
中瀬は結城を見たまま頷き
『あのキャリーバックどっかで見たなって、よくよく考えたら思い出してさ。』
結城は中瀬を見ながら
『田山さんの実家ってどこ?』
中瀬は結城の質問に
『確か旧大原町のはず。今のいすみ市だよ。』
結城はカーナビの目的地ボタンを押しながら
『大原町なんだ。今から行こう。大門に電話して、キャリーバックが入る大きなビニール袋を持ってきてもらおう。住所はわかる?』
※大原町は数年前に、岬町と夷隅町と大原町が合併していすみ市になった。
中瀬は鞄から手帳を取り出し、結城に見せた。
『えーっと、これが細かい住所。』
結城は中瀬から見せてもらった手帳の中に田山の住所が書かれたページを見ながらカーナビに登録して
『おっ、木戸泉酒造の近くじゃん。』
中瀬は結城の言葉に
『木戸泉って日本酒の?』
結城はにっこり笑って
『大原町に木戸泉って酒蔵があってさ。その近くだよ。絞りたての酒、帰り買って帰ろう。』
中瀬は笑って
『結城君、酒ってなると顔がニコニコしてるよ。』
結城は笑顔で中瀬に
『そう言えば車の免許は?』
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