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結城も笑って
『丸くなってる事を祈って、明日は森山事務所に行こう。』
野間口に言った後、結城は車窓を眺め
しかし諸見里の件が気になってしょうがねぇ・・・
心の中で呟いた。
・・・
睦沢町、諸見里 豊ひき逃げ事故現場交差点
野間口は
『右みても左みても田んぼや畑で、こんな見通しの良い道路で事故って・・・確かに外灯が全然ないし、真夜中は真っ暗だよな。昼間にもかかわらず人通りも車通りも少ないな。民家も少ない。』
結城は大門からもらった事故報告書を見ながら
『あるのは交差点の向こうに、経営してるのか潰れたのかわからないくらい古ぼけたスナックが2~3件あるだけだ。午後23時、諸見里が向こうを向いて歩いてる時に加害車両があっちから走って来てブレーキをかけずに・・・か。脇見運転か?』
野間口は辺りを見渡しながら
『諸見里に会って話しを聞きたいよな。』
結城は諸見里が歩いてたと思われる場所、加害車両がどう走って来てどうハンドルを切って、どうぶつかってどうブレーキをかけたかを事故報告書を片手に確認してると
あれ?なんだろ?気のせいか?これ気になる・・・後で調べれば良いか。
野間口は難しい顔をしてる結城に笑いながら
『どうした?難しい顔して、似合わんよ。何かわかったのか?』
結城は野間口の言葉に笑いながら
『いや、何でもない・・・ってか似合わんって、失礼な奴だ。確かに諸見里に会いたいけど、記憶喪失でどこまで覚えてるのか?・・・』
野間口は携帯の時計を確認し
『午後2時か、昼食べてないから腹減ったな。どっかでメシ食わないか。』
結城は
『この道真っ直ぐ行ったところに牛丼の吉田屋があるはず。』
野間口は車の鍵を開け
『そこで食うか。そうと決まればさっさと行こう。』
・・・
牛丼の吉田屋
野間口の運転する車は駐車場に入り
『こんなところに吉田屋があると思わなかった。』
二人は車を降り店に入りテーブル席に案内された。
『この前、仕事でこっちに来た時に見つけたんだよ。』
野間口はメニューを見ながら
『そっか、俺は牛丼と味噌汁だな。お前はどうする?』
結城もメニューを見て
『俺も同じで。』
店員を呼び牛丼と味噌汁を頼んだ。
ん?あの二人はもしかして・・・
一人の男がカウンター席から立ち上がり
『もしかして、野間口と結城か?』
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