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今回、同人誌に誘われて参加し、編集主幹に名を連ねているが、実を言うとわたしはなーんにもしていない。編集のことはわからないから、病身だからというのを口実に、他の主幹二人に任せきってきたのだ。
ああ、我ながらふがいない、と溜め息をついているわたしの脳裏に、昔のある苦い記憶が蘇ってきた。
忘れもしない高校一年の文化祭のときのことだ。クラスで演劇をやることになり、わたしは思い切って舞台監督に立候補した。シャイで奥手なくせに、実は一目置かれたいと人一倍ネチネチ思っていたわたしが、そんな自分を認めてもらうチャンスだと、ろくに考えもせずに手を上げてしまったのである。
早速、舞台監督であるわたしと助監督、演出、演出助手の四人のメインスタッフは連日、放課後に集まって会議をした。大道具・小道具のデザインからキャストの立ち位置まで、四人で話し合って決めていこうという会議だ。
その場で精彩を放ったのは、生まれながらにリーダータイプといった雰囲気の助監督の男子だった。こやつは舞台監督であるわたしを差し置いて、黒板をフルに使い図を描いたり多数決を取ったりしてうまいこと場を仕切った。残念ながら人を引っ張っていく力もなく弁も立たぬわたしは、スゴイなぁ、とただただ圧倒されるばかり。他の二人も積極的に案を出し、ああでもないこうでもないと侃侃諤諤の議論が繰り広げられる中、わたしはといえば、ふんふん、そうだね、それがいいね、とアホのように頷いているだけだった。
ただカッコイイからという理由で舞台監督になってしまったわたしは、そもそもどんな舞台をつくりたいかということを主体的に考えようとしていなかった。考えることを他のメインスタッフに任せておきながら、当時はそのことにほとんど気づいてすらいないおめでたさであった(!)。わたしは部活やバイトが忙しいというのを隠れ蓑に、自らの怠慢と舞台監督としての資質の無さを闇に葬ろうとした。
至極当然のなりゆきで、
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