プロローグ 富山県 入善町 私の最も古い記憶

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私の人生における最も古い記憶は、父に背負われて暗い 夜道を家族とともに歩いているものである。 私の家族は父と母、と兄の四人家族で、この記憶は警察 官であった父が富山県の東の端近くの入善町に赴任する 時のものであったことを後年知った。 父に背負われていたことから赴任の旅の途中で眠りこけ てしまったのであろうが、暗い夜道中で1か所明るい所 を通り、そこで一瞬、私は目を覚ましたのだろう、その 一時の記憶が私の人生での最初の記憶として残った。 その1か所明るい場所は電気屋であった。 私が生まれてから、この最初の記憶までの間の出来事は 後年に母や兄から聞いてはいるが、どうも実感がわか ない。 私が生まれた場所は、富山県高岡市博労町であったこと や、目を離した隙に、母の実家である高岡市旅籠町に向 けて歩いていったて母や兄、父母の下宿先の人たち総出 で探し回ったこと(父母の下宿先と母の実家は隣の町内 で数百メートルは離れている。 母はよく実家に帰っていたから道を覚えていたらしく 一人で歩いていったものらしい)などは後日聞いた話 である。 また、母と兄が度々話してくれた事件としては、母が 裁縫に使っていた台(座り机の幅を大きくした頑丈な造 りで裁縫版とよぶ代物)から踏み外して、文字通り真っ 逆さまに頭から落ちたらしいこと。 この事件の性で頭が良くなったのか、悪くなったのか ・・・は、知らない。 まあ、この二つの話以外は聞いていないことから、大 過なく成長していたものと思っている。 入善町では幼稚園の年長組を経て、小学校三年の一学 期まで過ごした。 幼児期を過ごしたこの町の思い出はその自然環境の豊 かさとともに私の記憶に懐かしい思い出として今も残 っている。 この本の話の大部分はこの入善での出来事を書いた ものである。
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