目が覚めれば、そこは...

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「あ...いや、助け...っ!」 視界がぐるりと歪み、まるで首を絞められているかのように息をするのが苦しくなる。 目の前の彼がどんな顔をしているのかすら分からなかった。 「さて、助けてほしいですか?」 こんな状態にしたくせに、怖いほど優しい声で聞いてくる。思い切り睨んでやりたかったが、今はそれよりも助けてほしい。必死に首を縦に振った。 「じゃあ飲んでください。僕の血を―――」 酸素を求めて開いていた口に、再び激しい口づけが襲う。しかし今度は口の中に錆びた味が広がった。 ぐいぐいと舌で押し込まれ、否応なしに飲み込んでしまう。 「...これで、君は僕の花嫁だ」 「ゲホゲホ...! あ..れ?息が、出来る」 先ほどまでの息苦しさが嘘のようになくなり、まるで何もなかったように体が楽になった。脂汗の気持ち悪い感触だけが残る。 「死に、かけたん...だけど!」 「ごめんなさい。花嫁にするには、毒と血が必要なんだ。見た目には変化はないけど、僕が咬んだところみて?」 促されるままに胸元を見てみると、とぐろを巻いた蛇の刺青が入っていた。 「なにこれ?!」 「これは、君が僕の花嫁だという証。見た目的にはこれぐらいかな?あとはー」 まだあるの?! 「君は僕の子を身籠れる。あとは寿命も少し延びたかな?」 身籠れる...身籠るとは、妊娠、のこと? 一気に血の気が引いていく。 花嫁ってことは夫婦ってことで...。え、でも妖怪なんだよね?そんな人の子どもを産めるってこと? でもこの男の子、子どもじゃん!? 「え、でも君はまだ子どもで...」 「僕、君よりも年上だけど。もっと言えば僕より長生きしてる人間なんていないんじゃないかな?」 少年はにたりと妖しい笑みを浮かべていた。
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