私の復讐

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私の復讐

 妹が自殺した。ストーカーにつきまとわれた末のノイローゼだった。  姉の私も何度も相談を受け、一緒に警察へ行ったり妹の友達に身辺のことをお願いしてみたりしたが、それでもストーカー行為は収まらず、妹は心を病んで自殺してしまった。  ショックで両親は抜け殻のようになり、私も心の病になりかけた。いや、きっと病み切っていたと思う。  妹を追い詰めたストーカーに何とか復讐したい。そう思い、遺品を調べたり妹の友達にあれこれ聞くなどしてみたが、相手の男が何者なのかまるで判らない。ただ唯一の手掛かりは、たまたま妹が大学の仲間達と撮影した写真の片隅に、チラリとだが映り込んでいた男の姿だけだ。  誰に聞いても、名前もどこの誰かも知らないと言われた男。むろん、顔もサングラスやマスクで隠しているので、知り合いが見たとしても判りそうにない状態だ。  それでも、この男のせいで妹が死んだのだと思うと憎しみが沸き、本人見つけられないのならせめて写真に復讐してやろうと、私はその写真を大量にコピーした。そして、一枚は針を通す、一枚はカッターで切り刻む、また一枚は火で炙るといった感じに、映像内のストーカーに危害を加え続けた。  そんなことを延々繰り返していた頃、妹の友人の一人が我が家を訪ねてきた。  大学のゼミが一緒だという男子学生で、どうしても都合がつかずに通夜や葬式にて出られなかったけれど、その分まで妹に線香を上げたいと言う。  快く承諾し、仏間に相手を通してお茶を淹れに行っていたら、戻った時、何やら部屋から声が聞こえた。 「ごめんなさい。許して下さい。本当にごめんなさい。許して下さい」  さっと窺うと、青年が多々見に頭をこすりつけね、ずっと妹の遺影に誤って流い姿が見えた。その瞬間、私はこの男がストーカーだと直感した。  殺してやりたい程の劇場が腹の中で燃え上がる。でも、一つの疑問がそれを少しだけ鎮めた。  妹の死から何ヶ月も立つが、いまだにストーカーの正体は判明していない。なのに今になって、どうしてこの男は妹の仏前に謝りに来たのか。  気になり、何食わぬ顔で男に対応した私は、男が帰った後、妹の友達に連絡を取り、今の男のこと…それも、家に来てくれたけれど憔悴していたから、何か悩んでいるようなことでもあるのかと、その辺りを重点的に聞いた。すると思った通りの答えが返ってきた。
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