隣の隣の席のキミへ

2/4
前へ
/4ページ
次へ
※  ――――――いつも思うことがある。  少女漫画の主人公みたいに、思いの丈をずばっと口に出せたらいいのにな。  そう、何度もなんども思うことがある。  特に、あの人と出会ってからというもの、寡黙で内気な自分に嫌気がさすことが増えた。  正直になれない自分が、嫌になった。  キミはいつも笑っている。  でも。私はいつも、がっかりする。  届かない、届かない、この気持ち。  明日こそは届くかな? 届くといいな、この想い。  ――――――――隣の隣の席のキミ。  学校でキミが視界に入るたびに、私の視線は吸い寄せられる。  ――――――隣の隣の席のキミ。  授業中も気になって、ふと、その横顔を見てしまう。  ――――隣の隣の席のキミ。  キミと話をする時、私は気が変になる。  隣の隣の席のキミ。  キミと仲良くなるほどに、打ち明けられない言葉が重くかさなっていく。  私の中の熱い想いは、いつも、胸に秘めたまま。  決して打ち明けられず、いつも、悶々としてしまう。  …………ねぇ、知ってる? 全部、キミのせいだよ?  そう、私はつぶやく。  夜の河川敷で、ひとり、想いをつぶやく。  ゆっくりと夜空を見上げた。  数少ない星。でも、きれいな星たち。  誰にだって平等な星々。  彦星様と織姫様は、まだまだ遠く離れている。  届くかな? 届くといいな、この想い。  そう思いながら、私はつぶやく。  夜空に向けて、お願いする。  叶わないと知りながら、心の奥からこうつぶやく。 「明日こそは、気付いてくれますように」  そう、思いを込めて。  私は今日も、願いをつぶやく。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加