隣の隣の席のキミへ

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   朝が来る。夜が明けて、キミと出会う朝が来る。  届かない願いと知りながら。私は少し期待している。  …………ねえ?私の想い、届いたかな?  朝が来るたび、浮かれている自分がいる。 「おはよう」  出会ったキミは、そう声をかけてくれる。  その笑顔が眩しくて。やっぱり、私は引き寄せられる。 「おはよう」  私も挨拶する。やっぱり、私はうじうじする。  午前の授業を聞きながら。  夜空の星を思い浮かべながら。  私は、頭のなかで、届くはずのない手紙を送った。  ――――――――拝啓、隣の隣の席のキミへ。  キミの笑顔が、いつもまぶしい。  ――――――隣の隣の席のキミ。  いつもいつも、私はキミを考える。  ――――隣の隣の席のキミ。  やっぱり私の想いは届かない。  隣の隣の席のキミ。  キミは今日も、いつも通り。  変わらない。そう、私の願いは届かない。  ―――――――――また、放課後が来て、夜が来る。  私はまた、河川敷に出向いて、星を眺める。  遠い、遠いお星様。  いつも会えない彦星様。  きっと泣いてる織姫様。  いつか、内気な私の想いを届けてくれたらいいな。  そんな期待を描きながら、私は、夜空にお願いする。  隣の隣の席のキミへ。
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