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ミチルの涙
ミチルはしばらく風景に見とれていたが、
「菜奈、綺麗な景色だね。」
といった。
菜奈が
「そうだね」
と、いってミチルの顔を見ると、ミチルの目からは涙があふれている。
「ミチル?どうしたの。」
菜奈は聞いたが、ミチルは直接それには答えず、意外な話をはじめた。
「せな。この風景はあと70年でなくなっちゃうんだ。」
「え、どういうこと?」
ミチルがぐしっと涙をふいた。
「日本は今から20年後に核兵器を持つことになる。…まわりの国がみんな持つようになって、しかたなく持ったのさ。
広島と長崎は最後まで反対したけどだめだった。
そのあとも核兵器は世界中に広がって、それからまもなく世界規模で核戦争が始まる。それが今から50年後のことなんだ。」
「ミチル、それって…」
と、菜奈は言いかけたが、ミチルは、
「もうちょっと話させてもらってもいい?」
といった。
菜奈は「うん。」といって話の続きを聞くことにした。
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