絶望的なミチルのはなし

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絶望的なミチルのはなし

「この戦争で、世界の八割が焼きつくされた。世界をE=mc二乗がおおったってわけさ。 日本はどうなったかというと、北海道から沖縄まで、電子レンジに入れすぎたグラタンみたいにグツグツと沸騰して、溶岩みたいになってしまったんだ。 東大寺もスカイツリーももちろん日本に住んでいる人達も、みんな一瞬で蒸発した。」 「それが本当だったら、ひどい話ね。」 菜奈が言った。 「本当のことなんだ。」 ミチルは寂しげに少し笑って話しを続けた。 「かろうじて生き残った人類が文明をもとのレベルに戻すまで、100年かかったよ。で、それから30年後に最初のタイムマシンができたんだ。」 「タイムマシン…」 菜奈は話しの展開についていけなくて、頭のなかが少し混乱していた。 「体育館みたいにに大きい装置だったけどね。でもおっきなコンピューターがあっという間に小さくなってパソコンになったように、タイムマシンもどんどん小さくなっていったんだ。」 「ミチル、もしかして、それって…」 そういってミチルが手にしているステンレスボトルを見た。 「そう。これが僕の時代のタイムマシンなんだ。僕は200年先の未来から来た、タイムトラベラーなんだ。」
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