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僕の名前は・・・
「じゃあ、わたしが握手会に大遅刻したときに、急に握手会の時間に戻れたのも…」
「そう。君と一緒に3時間前にタイムトラベルしたんだ。」
「すごいね・・・。」
菜奈は驚くやら、あきれるやらである。にわかに信じられる話ではないが、ミチルが菜奈に嘘をつくとは思えない。
「…僕の仕事は、核戦争よりも前の時代にタイムトラベルして、核戦争で失われた建物などをスキャンして、そのデータを未来に送ることなんだ。僕の両目には小型のスキャナーが入っているのさ。」
「それで一生懸命建物を見ていたのね。送られたデータはどうなるの?」
菜奈が聞いた。
「未来でそのデータをもとに、建物を立体的に復元して、そういうのをいくつもつくって、一大テーマパークをつくるってわけ。」
「テーマパークをつくるためにわざわざタイムトラベルしてるってわけ?」
菜奈は少しあきれて言った。
「未来には残っていない建物だから、けっこう大切な文化事業なのさ。それに、軍事目的でつかうよりかはましだろ?」
「そりゃあまあ、そうだね。」
菜奈は同意した。
「「相対性理論」を古典と言ってたのもそれでわかったわ。あなたからしたら、200年以上前の書物なんだものね。」
「そういうこと。」
ミチルは微笑んでうなづいた。
「・・・菜奈、潮野ミチルは僕の本名じゃない。この時代で活動するための偽名なんだ。僕の本当の名前はケン・ソドム。僕の時代ではこの名前で生活してるんだ。」
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