きゅーちゃんは死にました

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 わかるのは数秒やった。  はるなちゃんが言ったんやわ。  だって、LINEで伝えてしもうたし。  LINEでどう聞き耳たてんねん。  というか、はるなちゃん昨日から未読スルーやし。別にスルーするのは仕方ないって。  見たくないものを見ないことも、これから一生私と話さないことも別に、仕方ないってわかってる。  うちは泣いちゃうかもしれんけど、それが仕方ないことで、LINEなんかで伝えた私の罰やって知ってる。  声で伝えればよかったかっていうと、そこまで私は強くない。 「でもな、おっさんに言うのは無しやで」  せめて言うのなら、担任の都先生とかな。クラス委員長のさよこちゃんとかにな、『あいつ、うちにこくってきてん』って言ってたらな。とんちんかんの私は気が付かなかったのにな。  いつかクラスで孤立することになっても、なんも怖くなかってんで。  でもね、はるなちゃんはおっさんなんかちっとも好きじゃないやろ。  好きなのはたくみとかごうとかテレビの向こうの人やろ。何? おっさんにスマホの画面でも見られたんか? んなわけないよな未読やねんから。もし、見られたとしても『女同士の冗談』って言っとけよ。  裏切者。  裏切りって、人が死ぬんやで。筆箱の中にカッター入ってんねんけど、手首切るのは怖いしな。  さっきから教室の隅で女友達とげらげら笑ってるはるなちゃんを刺すのは流石に勇気いるわ。  おっさんころすのはもっといややわ。加齢臭が散らばりそう。一番いいのはこの教室から出ていくことやな。ドアはどっちやったっけ。あー、たぶんこっちやと思う方向を。進む方向を私は選んだ。 「おっさん、そこどいて」  私は窓枠にもたれかかって、私の悪口いうやつをなんとなくどかした。  窓はあきっぱやったから、そのままぴょんって飛び込んでんけど。  どうなんやろ、4階で人って死ぬんやっけ
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