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【愛は、私の太陽。】
平川麗は心の底から、そう思った。
だが、麗の目の前で、おいしそうにデザートのプリンを食べている、太陽こと
平川愛は、プリンに夢中で、母親の麗のことなど気にもしていなかった。
「幼稚園の入園祝いだから、好きなもの食べていいのよ」
愛にはそう伝えたが、別に今日が特別な日なわけではなかった。
家の近所のスーパーで、買い物をして、自宅で食事しても良かったのだが、
駅前の、吹き抜け天井が特徴のショッピングモールに、
麗本人が来たかったのだ。
最低でも週に3度は。
そこは、主婦としての麗が癒されるスペース。
もちろん愛がいてくれてこその事だが。
今週3度目のご来店というわけだ。
ただ、麗と同じ思いなのか定かではないが、
吹き抜けレストランのお客のほとんどが、
何組もの母子で一杯だった。
「ほんと、いつも同じ光景よね」
麗が、ふと見上げたガラスの天井は、黒味がかった雲で覆われていた。
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