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麗は、冷静に状況を分析しだした。
だが、その冷静さも、すぐに吹き飛んだ。
目の前で座っていた愛が、いない・・・・・・
慌てて周りを見回す。
だが、麗の目には、目を押さえたり、こすったり、叫んでいる
多くの母子の姿ばかりが見える。
更に見回す。
と、見馴れた少女の姿に、目がとまる。
「愛!!!」
麗は、愛に急いで駆け寄り、
そして、力強く抱きしめた。
だが、愛は抱き返してはくれなかった。
何かがおかしい。
麗は、愛の顔を見つめる。
愛は、麗以外の一点を見つめている。
よく見ると、愛の右手も、一点を指さしている。
「ねぇ、愛、何なの?何を指しているの?」
麗は、愛の指さす方を見つめる。
「何もないじゃない、何が・・・」
それは、突然だった。
つい先ほどまで見えてはいなかったのに、
今は見えている。
見えてしまったと言った方が正しいだろう。
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