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失敗した、と素直に反省する。
たっぷり30分はかけて晴らした憂さはもう影も形も残っていない、けれど。
それだけあれば、一介の口喧嘩からちょっとした騒動として取り扱われるには十分すぎる。
校舎裏に集まっている尋常じゃない数の人、人、人…
その中心に自分がいることに心底辟易してしまう。
眼下でへたり込んでいる三人組はといえば、先ほどまでの威勢はどこへやら、明らかな怯えを虚ろな瞳に宿らせ顔面蒼白に地面と睨めっこ状態。
…どう見ても自分が悪役
「さて…」
この場で取れる選択肢は2つ。
この3人と口裏を合わせてやり過ごすか、何事も無かったかのように逃げるか。
どちらも得策とはいえないまでも、後々の後腐れが少ないのは後者だろう。
適当な理由をこじつけたところで周囲にわんさといる野次馬全員が信じる訳ではない。
多少の噂話は覚悟の上、それよりもこの3人に助け船を出すことの方が余程癪だった。
そうと決まれば善は急げ、校門側の輪に近づく。
自然と分かれる人波に拒絶されながら、何食わぬ顔で去ろうとする。
けれど、またしてもそれは阻まれた。
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