0. プロローグ

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近い内に別れが訪れることは分かっていた。 そして、二度と会えなくなることも。 バカですね、後悔するって知っているのに バカですね、寄り添えば寄り添うほど別れが辛くなるのに バカですね、淡い期待なんて抱いたって無駄なのに バカですね バカですよ 縋っていたい、繋がっていたい。 この小さな小さな、雪のように儚くて一瞬の幸せに。 これが私の最初で最後の恋。 走れる距離。 立っていられる時間。 起きていられる時間。 全てが日に日に短くなっていく。 君といられる時間が、減っていく。 明日は何をしよう、明後日はどうしようって楽し気に語る君に、『もうそんな体力ないよ』って答えれば、決まって必ず、君は言う。 『それじゃ、いつか元気になったらしよう』 その言葉がどれだけ辛かったか、君は露ほども知らない、分かってない。 あぁ、もう少し。あと少しだけ。 彼と一緒にいたい。 あれだけ無為に過ごしてきた時間がこんなにも惜しい。 けれど想いに反して身体は理不尽なほど意思を裏切っていく。 望めば望むだけの不条理が、私に降りかかって。 思えば、この時からかもしれない。 世界が、私を見放し始めたのは――――……  
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