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近い内に別れが訪れることは分かっていた。
そして、二度と会えなくなることも。
バカですね、後悔するって知っているのに
バカですね、寄り添えば寄り添うほど別れが辛くなるのに
バカですね、淡い期待なんて抱いたって無駄なのに
バカですね
バカですよ
縋っていたい、繋がっていたい。
この小さな小さな、雪のように儚くて一瞬の幸せに。
これが私の最初で最後の恋。
走れる距離。
立っていられる時間。
起きていられる時間。
全てが日に日に短くなっていく。
君といられる時間が、減っていく。
明日は何をしよう、明後日はどうしようって楽し気に語る君に、『もうそんな体力ないよ』って答えれば、決まって必ず、君は言う。
『それじゃ、いつか元気になったらしよう』
その言葉がどれだけ辛かったか、君は露ほども知らない、分かってない。
あぁ、もう少し。あと少しだけ。
彼と一緒にいたい。
あれだけ無為に過ごしてきた時間がこんなにも惜しい。
けれど想いに反して身体は理不尽なほど意思を裏切っていく。
望めば望むだけの不条理が、私に降りかかって。
思えば、この時からかもしれない。
世界が、私を見放し始めたのは――――……
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