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ケンジくんはイく時いつも苦虫を噛み潰したような顔をする。それはとてもじゃないが格好良くはなく、気持ちよさそうでもなかった。それでもイったという事実が下半身にあるものだから、よかったのだろうと私はいつも納得している。
今日の私はケンジくんの陰茎をがんばって舐める役回りで、これでもかと言わんばかりに口をすぼめて、ケンジくんが言った、あの女優みたいにやって、という要望に応えるのに必死だった。イモムシのようなケンジくんのそれは口内で次第に大きくなっていき、口が疲れるなあと少し思ったあたりで、ふと意識的にそのサイズを確かめてみれば確たるかたちになっている。生き物の不思議を私はここでいつも目の当たりにして驚く。それからはただただ一生懸命、その形容がしっくりくるような、ともかくも無言の行動が続き、それで次第に気持ちがお互い昂っていけばなんとも獣らしい、あるいは非常によくできたAVみたいな、高揚感があたりに蔓延するのだ。そのすえた感慨に興奮するケンジくんはイく二段階ぐらい前になるとよく私の頭を掴むことがあって、それは動きの切り替えにちょうどいいサイン。ディープストロークして吐きそうになっているのを、それでやっとこさ止めて、先端に集中して唾で目いっぱいどろどろになったところをいじめてやればフウフウ、速まる息遣い、喉を鳴らすケンジくん。絶頂した一身を、私、慣れてます、という感じで舐めとると、彼は一息ついてからそそくさとケータイに手をやるのだった。
明日はシイナくんに会いに行く、私には生まれてこのかた彼氏がいたことがない、ミスズ、と言う、私は、相手がイった時にいつも頭の中で自分の名前を言うのだった。
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