ミスズ、ワンダー

「ミスズ、ワンダー」小林

　片づけられない系女子ミスズ。家に帰って思うのはこの形容で、私の部屋はとてつもなく汚い。食器は使い放しでシンクにあるし、ゴミはゴミ箱に入っていない。洗濯物もカゴから飛び出て散乱しているし、ベッドの上は着なかった洋服が山となって積まれていた。収納できる小型テーブルは常に出ていてその上にはパソコンとペットボトルに食べ残したスナックがある。玄関から一歩進めば足先に当たるアルミ缶、酒の臭いがプンと漂い、さすがにビニール袋にまとめておこうと近場にあったものを一つ、引っ張れば中からいつ買ったのかわからないおにぎりが飛び出る。思わず吐き気を催すものの堪えてゴミ箱に目をやる。溢れたコンビニ弁当の残骸、これはさすがにまずいなと新しいゴミ袋を探す。シンクの下の棚にあったそれを取り出して、まわりにあったゴミを次々放れば多少足場が出来て、臭いもどこか軽くなった気がした。それで満足、ゴミ袋はキッチン横に放るのが私。床に落ちたままになっている布団を座布団代わりに座る。パソコンの電源を付けてカバンからラッキーストライクを取り出した。薄ピンクに店名が書かれたライターで火を点ける。これ、先週アキラくんと行ったラブホのやつだ、あそこ、けっこうキレイだったな、また行きたい。（続く）