0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は病院に行き、治療を受けた。しばらく激しい痛みに悩まされ、腕に大きな腫れが残ったが、アナフィラキシーショックの症状は出ていないとのこと。ひとまず最悪の事態を回避できたことに安堵する。
翌日の朝、俺は朝食を取りながら考えた。
どうして蜂に襲われたのだろう。追跡して刺してくるなんて異常だ。新種の蜂かと思ったが、治療した医師も「オオスズメバチだろう」と言っていたし……何がどうなっているんだ?
うんうんと唸って考えるが、結論は出なかった。
考えるのをやめ、食器を片付けようとした、そのとき。
「あ」
唐突に閃いた。
もしかして、あの蜂はメスだったのではないだろうか。
「おしりが大きくて、Sで毒のある女……まさか、こんな形で願いが叶うとはな」
なるほど。想像力を働かせて、ちゃんと「人間の女」と断定しなければいけなかったというわけか。俺はまんまと「願いに喰われた」らしい。
「はぁ……融通の利かない流れ星だな」
嘆息し、窓の外を見る。
一匹のオオスズメバチが、飛び回りながらこちらを見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!