流星山の夜空に「具体的な」願いを

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 待機して一時間がたったときだった。  強く瞬く星が、光の尾を引きながら夜空を駆けていく。  ――願いを言うのは今だ! 「彼女がほしい! スタイル抜群で、くびれがあって、おしりが大きい子! 俺はMだから、Sで毒のある女を頼む!」  言った。言ったぞ。流れ星が消える前に、具体的な願いが言えた!  やった……これでようやく彼女ができる。  この世に生まれて三十五年。未だに彼女ができたことはない。俺の性格や容姿も彼女ができない原因の一つだろうが、何せ出会いらしい出会いがない。中学、高校と男子校だったし、高卒で就職した先はとび職。子どもの頃から男社会で生きてきた俺は、女性と仲良くなる機会がほとんどないのだ。  だが、今日でそれも終わり。  もしも本当に流れ星が願いを叶えてくれるのならば、俺好みのドSな女と付き合える。 「ようやく俺にも彼女ができるのか……」  腹からせり上がる高揚感に心躍らせ、俺は帰宅した。
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