14人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
その後編2 「桜の中で」
川澄恭平、25歳。
実は、マイカと付き合い始める少し前に誕生日を迎えた。
そのため、残念ながら今年は、彼女に祝ってもらえてない。
まぁ、誕生日は来年もまた巡ってくる。
と、大人な顔をした俺は、実際、社会にも慣れ
ようやく自分も、一端を気取れるようになったと思っていた。
にも関わらず、真実は、こんなにも己を知らないアホだった
ということを最近知り、内心、少くなからずショックを受けている。
大人という年齢に達してみると、人間形成というものには
育った環境が大きく影響するものだと思い知る。
事実俺も、母親が病弱だったということもあり、
幼い頃は、周りよりも早く「子供」という状況を捨てたと思う。
そして、父親の恋愛や再婚にも「大人」の顔をしていたせいか、
俺自身、自分を結構、冷めた人間だと思っていた。
だが実は、意外に一途で純粋な熱さを持った人間だったということが
マイカとの再会で明らかになった。
最初のコメントを投稿しよう!